- 条文が定めていること
- 条文が定めていないこと
- 前提に置かないほうがよい理由
- 費用は自分の判断で決める
後から取り戻せるなら、と考える方がいます。条文から確認します。
条文が定めていること
慰謝料請求の根拠になるのは民法第709条です。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第710条は、身体・自由・名誉の侵害や財産権の侵害のいずれであるかを問わず、709条により責任を負う者は財産以外の損害についても賠償しなければならないとしています。
条文が定めているのは、この枠組みまでです。
条文が定めていないこと
- 慰謝料の金額
- 調査費用が損害に含まれるかどうか
- 含まれるとして、どこまでの範囲か
- 何が不貞にあたるか
本題は調査費用が損害に含まれるかどうかですが、条文には規定がありません。
調査費用の扱いは、個別の事案でどう判断されるかによります。
回収できると断定することも、できないと断定することもできません。
インターネット上には具体的な説明が見られますが、それらは判例や実務の蓄積から整理されたものです。この記事では踏み込みません。具体的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。
慰謝料の考え方は不貞の慰謝料の考え方、離婚原因の条文は民法が定める離婚原因と不貞にまとめました。
前提に置かないほうがよい理由
回収を前提に費用を決めると、いくつかの問題が生じます。
- 請求そのものをしない選択をした場合、回収の機会がない
- 話し合いで解決した場合、扱いが変わる
- 相手方に支払う資力があるとは限らない
- 時間がかかる
請求そのものをしない場合は、回収の機会がありません。関係を続ける判断をすれば、相手方への請求はしないことになります。
相手方の資力も見落とされがちです。判断が出ても、支払う能力がなければ実際には回収できません。
時間の問題もあります。請求すると決めても、話し合いがまとまるまでに何か月もかかることがあります。そのあいだ、調査に払った費用は家計から出ていったままです。その期間を家計が持ちこたえられるかも、考えに入れておいてください。
しずく後で戻ってくる前提で予算を組むと、戻らなかったときに行き詰まります。
なお、民法第724条は消滅時効について、損害及び加害者を知った時から3年間、または不法行為の時から20年間行使しないときは請求権が消滅すると定めています。詳しくは不貞の慰謝料に時効はあるのかをご覧ください。
費用は自分の判断で決める
調査費用は、自分が出せる範囲で決めるほうが安全です。
- 家計から無理なく出せる金額はいくらか
- どこまで分かれば十分とするか
- 追加が発生した場合に対応できるか
どこまで分かれば十分とするかを先に決めておくと、範囲を区切れます。何も決めずに始めると、どこで止めるか分からなくなります。
依頼するなら、払った費用の記録は残しておいてください。探偵業の業務の適正化に関する法律の第8条第2項により、契約後に交付される書面には、金銭の額と支払いの時期が記載されます。この書面と領収書を一緒にしまっておけば、後で請求を考える段階になったとき、何にいくら払ったかを弁護士に説明しやすくなります。
費用を抑える方法は費用を抑えるためにできること、予算の伝え方は予算を先に伝えてよいのかにまとめました。
請求までの流れは慰謝料を請求するまでの流れをご覧ください。この記事は条文の整理であり、個別の事案についての助言ではありません。
調査の費用を請求に含められるかは個別の判断です。請求まで考えているなら、調べる段階から手続きを見据えて相談できる先があります。
法的な手続きまで視野に入れるなら
大手弁護士法人のグループにある探偵社です。調査の後に慰謝料の請求や離婚の手続きを考えている場合、調べる段階と法的な手続きの段階が繋がっている点が違います。ただし法律相談そのものは弁護士の領域です。役割の違いは記事の中で説明しています。
- 民法(e-Gov法令検索)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)
