- 条文に書かれていること
- 条文が定めていないこと
- 判断が個別になる理由
- 確認しておくとよいこと
別居している期間の出来事をどう考えるか。よく尋ねられる論点ですが、条文からは一義的に決まりません。
条文に書かれていること
民法第770条第1項は、裁判上の離婚原因を4つ挙げています。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。 四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
慰謝料の根拠になる民法第709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は損害を賠償する責任を負う、と定めています。
条文で確認できるのはここまでです。
条文が定めていないこと
条文は「不貞な行為」という言葉を使うだけで、別居中かどうかについては何も書いていません。
- 別居中の扱い
- 婚姻関係が破綻していた場合の扱い
- 何をもって破綻とするか
- どの時点を基準にするか
これらは判例と実務の蓄積によって扱われている領域です。条文を読んでも答えは出てきません。
しずくこの論点は、断定して書かれている記事が多い割に、条文には根拠がありません。
一般には、婚姻関係がすでに破綻していたかどうかが問題になるとされていますが、何をもって破綻とするかは事情によって変わります。この記事では踏み込みません。
判断が個別になる理由
同じ「別居」でも、中身が違います。
- 単身赴任など、事情があって離れている
- 話し合いのうえで距離を置いている
- 一方が出ていったまま連絡が取れない
- 離婚に向けた手続きが進んでいる
これらを同じものとして扱うことはできません。期間の長さ、経緯、双方の認識によっても変わります。
また民法第770条第2項は、第1項一号から三号の事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できるとしています。条文の上でも、事情を総合して判断する構造になっています。
具体的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。
この記事は条文の整理であって、個別の事案についての助言ではありません。
確認しておくとよいこと
判断は専門家に委ねるとして、自分の側で整理できることがあります。
- 別居が始まった時期と、そのときの経緯
- 別居中の連絡の頻度と内容
- 生活費のやりとりがあるか
- 離婚について話し合ったことがあるか
- 交際の始まりがいつごろか
最後の項目が分かるかどうかで、話が変わることがあります。ただし、これを確かめようとして法に触れる手段に踏み込まないでください。
しずく確かめたい気持ちは分かりますが、手段を誤ると立場が入れ替わります。
集め方が問題になる場合については違法な手段で集めた場合に起きることにまとめました。
離婚原因の条文については民法が定める離婚原因と不貞、時効については不貞の慰謝料に時効はあるのかをご覧ください。
- 民法(e-Gov法令検索)