- 立場が入れ替わる
- 条文で確認できる罰則
- 罰則とは別に起きること
- 線の内側でできること
証拠を集めたい気持ちが強いときほど、手段の検討が甘くなります。その先で何が起きるのかを整理します。
立場が入れ替わる
最も大きいのは、被害を受けた側から、責任を問われる側に回る可能性があることです。
相手の行為を明らかにするための行動が、自分の行為を問われるきっかけになる。
この入れ替わりが、自力調査で最も避けたい結果です。
しずく確かめたいだけだったのに、話の中心が自分の行動に移ってしまう。これが一番つらい展開だと思います。
条文で確認できる罰則
手段によって、関わる条文が変わります。
- 相手のIDとパスワードで別の端末からログインする
→ 不正アクセス行為の禁止等に関する法律。第11条の罰則は3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金
- 他人の敷地に立ち入る
→ 刑法第130条の住居侵入等。3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金
- 持ち物に位置情報の機器を無断で取り付ける
→ ストーカー規制法の位置情報無承諾取得等の対象になり得る
不正アクセス禁止法については、条文の要件が「電気通信回線を通じて」となっているため、端末を直接操作する場合と別の端末からログインする場合で扱いが分かれます。詳しくは配偶者のスマホを見るのは違法かにまとめました。
位置情報の機器については、取り付けた時点で条文の対象になり得る構造になっています。車にGPSや紛失防止タグを付けるとどうなるかをご覧ください。
罰則とは別に起きること
処罰の話だけではありません。実際には、次のほうが起きやすいことです。
相手に警戒される
- 行動のパターンが変わる
- 連絡の取り方が変わる
- 会う場所と時間帯が変わる
- その後は誰が調べても難しくなる
費用と手間は後からやり直せます。警戒された事実だけは取り消せません。
話の焦点が移る
話し合いの場面で、相手の行為ではなく、こちらの行為が問題にされることがあります。本来の争点から離れてしまう形です。
集めたものが使えるとは限らない
条文には証拠の基準がありません。集め方に問題があった場合にどう扱われるかは、事情によって変わります。具体的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。
しずく苦労して集めたものが使えないと分かる瞬間が、一番こたえます。
探偵に頼めば解決するわけでもない
依頼すれば制限がなくなる、という誤解があります。
探偵業の業務の適正化に関する法律の第6条は、この法律により、他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないと定めています。
違うのは、方法と体制です。同じ法律の第2条は探偵業務を、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行う業務と定義しています。法律の枠内で、経験のある体制が動く形になります。
線の内側でできること
手段を限られたものと考えると動けなくなりますが、合法的にできることは思っているより多くあります。
- 帰宅時間や外出の記録を残す
- 曜日と時間帯の規則性を確かめる
- 給油の間隔や走行距離の変化を見る
- 家計の中で説明がつかない支出を確認する
- 持ち物や服装の変化に気づいたら書き留める
これらは費用もかからず、リスクもありません。そして繰り返しているかどうかが見えてくるという点で、実際に意味があります。
記録の取り方は夫の浮気を自分で確かめる方法と、その限界にまとめています。
その範囲から始めて、先が必要になった段階で専門家に相談する。この順序が、結果として近道になります。
- 不正アクセス行為の禁止等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 刑法(e-Gov法令検索)
- ストーカー行為等の規制等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)