- 条文が定めている行為
- 取り付けた時点で対象になる
- 紛失防止タグも含まれる
- 感情要件という条件
- 別に生じうる問題
自分で調べようとするときに、位置情報を記録する機器が候補に挙がることがあります。この行為について、条文を確認します。
条文が定めている行為
ストーカー行為等の規制等に関する法律の第2条第3項が「位置情報無承諾取得等」を定義しています。次の行為が挙げられています。
- その承諾を得ないで、相手が所持する位置情報記録・送信装置の位置情報を、政令で定める方法により取得すること
- その承諾を得ないで、相手が所持する位置特定用識別情報送信装置の位置情報を取得すること
- その承諾を得ないで、相手が所持する物に、これらの装置を取り付けること
3号が重要です。
取り付けた時点で対象になる
位置情報を見ていなくても、取り付けた時点で条文の対象になり得る構造になっています。
「まだ場所は確認していないから大丈夫」という整理は、条文の文言からは成り立ちません。
3号は、取り付けること、取り付けた物を交付すること、その他移動に伴い装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為、という形で書かれています。
しずくここは誤解されやすい点です。使ったかどうかではなく、付けたかどうかで条文が動きます。
紛失防止タグも含まれる
条文には2種類の装置が出てきます。
- 位置情報記録・送信装置。装置の位置情報を記録または送信する機能を持つもの
- 位置特定用識別情報送信装置。装置を識別する情報を送信し、周辺で受信した機器の位置情報を利用して所在を特定するもの
後者は、持ち物の紛失防止に使われるタグが該当する形で書かれています。GPS機器だけの話ではありません。
手軽に入手できるものだからといって、扱いが変わるわけではないという点は押さえておく必要があります。
感情要件という条件
ただし、同じ第2条第3項の柱書には条件が置かれています。
特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、という文言です。
配偶者の浮気調査を目的とする場合にこれを満たすかどうかは、条文の文言だけでは一義的に決まりません。そのため、必ず違法になると言い切ることはできません。
逆に、大丈夫だと言い切ることもできません。言えるのは、自分で判断して進めるには不確実な領域だということです。
なお、対象者の範囲には「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族その他当該特定の者と社会生活において密接な関係を有する者」が明記されており、配偶者が対象から除外される構造にはなっていません。
しずく白か黒かをはっきりさせたい場面だと思いますが、条文からはそこまで決まりません。だから勧められない、という話になります。
反復するとどうなるか
第2条第4項は「ストーカー行為」を、つきまとい等または位置情報無承諾取得等を反復してすることと定義しています。
1回だけでは同項のストーカー行為にはあたりませんが、規制の対象行為ではあります。
別に生じうる問題
条文で確認したのはストーカー規制法の部分です。それ以外にも、取り付けの状況によって別の問題が生じる可能性があります。
他人の敷地に立ち入る場合や、車体に加工を加える場合などです。これらについては個別に条文で確認する必要があり、この記事では扱っていません。
結局どうなのか
確実なのは、自分で判断して進めるには線が見えにくい領域だということです。証拠を集めるはずが、自分の行為を問われる立場に回る可能性があります。
線の内側でできることは、思っているより多くあります。行動の記録を残す、規則性を確かめる、支出の説明がつくかを見る。その範囲から始めて、先が必要になった段階で専門家に相談するという順序が、結果として近道になります。
スマホを見る行為については配偶者のスマホを見るのは違法かに、手元でできることは夫の浮気を自分で確かめる方法と、その限界にまとめました。
なお、探偵に依頼した場合でも同じです。探偵業の業務の適正化に関する法律の第6条は、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないと定めています。
- ストーカー行為等の規制等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)