- 条文で確認できること
- 条文からは決まらないこと
- 集め方が問題になる場合
- 確実に言えること
時間をかけて集めたものが、後になって使えないと分かる。それを避けるために、何が決まっていて何が決まっていないのかを整理します。
条文で確認できること
慰謝料を請求する場面の根拠になるのは、民法第709条です。
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
第710条は、身体・自由・名誉の侵害や財産権の侵害のいずれであるかを問わず、709条により責任を負う者は財産以外の損害についても賠償しなければならないと定めています。精神的な損害についての規定です。
裁判上の離婚については民法第770条第1項一号が「配偶者に不貞な行為があったとき」を挙げています。
条文で確認できるのはここまでです。
条文からは決まらないこと
- 何が不貞にあたるか
- どの程度の証拠が必要か
- 自分で集めたものが証拠として扱われるか
- 写真が何枚必要か、といった基準
これらは判例と実務の蓄積によって扱われている領域です。条文を読んでも答えは出てきません。
しずくネット上には具体的な基準が書かれていることがありますが、それは条文の内容ではありません。ここでは踏み込みません。
一般には、単発の出来事より継続性が読み取れる記録のほうが扱いやすいとされていますが、どう判断されるかは事情によって変わります。具体的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。
集め方が問題になる場合
証拠として使えるかどうかとは別に、集め方そのものが問題になる場合があります。ここは条文で確認できます。
- 相手のIDとパスワードで別の端末からログインする
→ 不正アクセス行為の禁止等に関する法律の要件に当てはまり得る
- 持ち物に位置情報の機器を無断で取り付ける
→ ストーカー規制法の位置情報無承諾取得等の対象になり得る
- 他人の敷地に立ち入る
→ 刑法第130条の住居侵入等(3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金)
刑法第130条は、正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらず退去しなかった者を処罰の対象としています。
張込みや尾行をしようとして駐車場や敷地に入る場面で関わってきます。
証拠を集めるはずが、自分の行為を問われる立場に回る可能性があります。
詳しくは配偶者のスマホを見るのは違法かと車にGPSや紛失防止タグを付けるとどうなるかにまとめました。
確実に言えること
条文から確実に言えるのは、次の点です。
- 集め方によっては、自分が責任を問われる可能性がある
- 条文は証拠の基準を定めていない
- 判断が必要なら専門家に相談する必要がある
しずく「これがあれば大丈夫」と言い切る情報を見かけたら、根拠が条文なのか実務の話なのかを見てください。
手元で合法的にできることは、思っているより多くあります。行動の記録を残す、規則性を確かめる、支出の説明がつくかを見る。この範囲から始めるほうが確実です。
記録の取り方は夫の浮気を自分で確かめる方法と、その限界にまとめています。
- 民法(e-Gov法令検索)
- 刑法(e-Gov法令検索)