- 尾行そのものを直接禁じる条文はあるか
- 敷地に入る場合
- つきまとい等の規定
- 探偵であっても同じ原則
- 法律の前に現実的な問題
自分で後をつけてみようと考える方は少なくありません。条文で確認できる範囲を整理します。
尾行そのものを直接禁じる条文はあるか
道路など公の場所で人の後を歩く行為そのものを、一般的に禁じる条文は見当たりません。ただし、それはどんな尾行も問題ないという意味ではありません。
状況によって、複数の条文が関わってきます。
しずく「禁止と書かれていない」と「やって大丈夫」は違います。周辺の条文を見ていきます。
敷地に入る場合
追っていった先で建物の敷地に入る場面が出てきます。ここは条文がはっきりしています。
刑法第130条は次のように定めています。
正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、3年以下の拘禁刑又は10万円以下の罰金に処する。
マンションの共用部分、駐車場、店舗の裏手など、追跡の過程で入りたくなる場所が該当し得ます。
つきまとい等の規定
ストーカー行為等の規制等に関する法律の第2条第1項は「つきまとい等」を定義しており、その一号に次の行為が挙げられています。
つきまとい、待ち伏せし、進路に立ちふさがり、住居、勤務先、学校その他その現に所在する場所若しくは通常所在する場所の付近において見張りをし、住居等に押し掛け、又は住居等の付近をみだりにうろつくこと。
ただし同項の柱書には条件が置かれています。特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、という文言です。
配偶者の行動を確かめる目的がこれを満たすかどうかは、条文の文言だけでは一義的に決まりません。そのため必ず該当するとも、該当しないとも言えません。
なお対象者の範囲には「当該特定の者又はその配偶者、直系若しくは同居の親族」が挙げられており、配偶者が構造上除外されているわけではありません。
言えるのは、自分で判断して進めるには線が見えにくい領域だということです。
同じ法律の位置情報に関する規定については車にGPSや紛失防止タグを付けるとどうなるかにまとめました。
探偵であっても同じ原則
探偵に頼めば何でもできる、という誤解があります。条文は否定しています。
探偵業の業務の適正化に関する法律の第6条は、この法律により、他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものではないと定めています。
しずく資格があるから特別に許される、という構造にはなっていません。
違うのは、方法と体制です。第2条は探偵業務を、面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行う業務と定義しています。同じ法律の枠内で、経験のある体制が動く形になります。
法律の前に現実的な問題
条文の話とは別に、自分で尾行すると起きやすいことがあります。
- 同じ人物、同じ車が続くと気づかれる
- 顔を知られているため、一度見られたら終わる
- 平日の昼間に動けない
- 動揺して行動が不自然になる
2つ目が決定的です。他人であれば紛れられる場面でも、配偶者には通用しません。
そして一度警戒されると行動が変わり、その後は誰が調べても難しくなります。費用と手間はやり直せますが、警戒された事実は取り消せません。
失敗のパターンは夫の浮気を自分で確かめる方法と、その限界にまとめています。
- 刑法(e-Gov法令検索)
- ストーカー行為等の規制等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 探偵業の業務の適正化に関する法律(e-Gov法令検索)