- 条文には基準が書かれていない
- 実務の話として語られていること
- なぜ断定できないのか
- 情報の見分け方
証拠の条件を調べると、具体的な基準が並んだ記事が見つかります。その情報がどこから来ているのかを整理します。
条文には基準が書かれていない
民法第770条第1項一号は、裁判上の離婚原因として「配偶者に不貞な行為があったとき」を挙げています。
慰謝料の根拠になる民法第709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は損害を賠償する責任を負う、と定めています。
どちらの条文にも、証拠に関する定めはありません。
何枚の写真が必要か、どの程度の記録があればよいか、といった基準は条文に存在しません。
しずく法律に書いてあると思って探しても、その部分は出てきません。ここを知らないと、根拠のない情報を信じてしまいます。
実務の話として語られていること
条文にないにもかかわらず、基準らしきものが語られているのは、判例と実務の蓄積があるためです。
一般に、単発の出来事よりも継続性が読み取れる記録のほうが扱いやすいとされています。日時と場所が特定でき、行動のつながりが分かる形が望ましいとも言われます。
ただし、これらは「そう言われている」という水準の話です。
- 写真が何枚必要か
- 何時間の滞在が必要か
- どの場所であればよいか
- どの程度で認められるか
数値化された基準を書かないのは、条文で裏が取れないためです。個別の事案でどう判断されるかは事情によって変わります。
なぜ断定できないのか
判断する側は、集まった材料を全体として見ます。ひとつの要素だけで決まる構造になっていません。
また民法第770条第2項は、第1項一号から三号の事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは請求を棄却できるとしています。
つまり、条文の上でも「これがあれば必ずこうなる」という形にはなっていません。
しずく断定できないことを断定して書くほうが、読む側には親切に見えます。でもそれで動くと、後で困るのはご本人です。
情報の見分け方
調べていると、断定的な表現に出会います。見分ける視点を挙げておきます。
- 根拠が条文なのか、判例や実務の話なのか区別されているか
- 条文が引用されている場合、実際にその条文に書かれているか
- 「必ず」「確実に」といった表現が使われていないか
- 個別の判断は専門家に、という但し書きがあるか
2つ目は自分で確認できます。e-Gov法令検索で条文を読めば、書かれている内容かどうかが分かります。
何をすればよいのか
証拠の基準が分からないからといって、何もできないわけではありません。
手元でできるのは、行動の記録を残すことです。日付と事実だけを書き留めていく。何曜日に帰りが遅いか、外出の理由に共通点があるか。これは法律に触れることなく続けられます。
記録が意味を持つのは、繰り返しているかどうかが見えるからです。
一度の出来事より、パターンのほうが多くを語ります。
その先に何が必要になるかは、目的によって変わります。関係を続けたいのか、話し合いの材料にしたいのか、別の道を考えているのか。決まっていない場合は、決まっていない前提で相談することもできます。
記録の取り方は夫の浮気を自分で確かめる方法と、その限界、集め方が問題になる場合は自分で集めた証拠は使えるのかにまとめました。
具体的な判断が必要な場合は弁護士にご相談ください。
- 民法(e-Gov法令検索)